固有値
概要
正方行列 \(A\) について、\(Ax=\lambda x\) を満たす値 \(\lambda\) とベクトル \(x\) をそれぞれ \(A\) の固有値 (eigenvalues)、固有ベクトル (eigenvectors) と呼ぶ。
例えば \(2 \times 2\) 行列 \(A=\begin{pmatrix} 2 & 1 \\ 1 & 2 \end{pmatrix}\) は次の 2 つの固有値および固有ベクトルを持つ (\(k\) は 0 ではない任意の数)。
- 固有値 \(\lambda=3\) に対応する固有ベクトル \(x=\begin{pmatrix}k \\ k\end{pmatrix}\)
- 固有値 \(\lambda=1\) に対応する固有ベクトル \(x=\begin{pmatrix}k \\ -k\end{pmatrix}\)
\(A\) が実数の対数行列の時、\(X^TAX=\Lambda\) が対角行列になるような直交行列 \(X\) が存在する。このような \(X\) および \(\Lambda\) を見つける処理を \(A\) の対角化 (diagonalization) と呼ぶ。\(\Lambda\) の対角成分と、それに対応する \(X\) の列は \(A\) の固有値、固有ベクトルである。
固有値と固有ベクトルは物理系の固有振動数や固有モード、量子状態、エネルギー準位などを解析するためのに使用される。固有値は系の基本的な特性 (振動数、エネルギーなど) を示し、固有ベクトルは系の状態や振動パターンを示す。量子力学、構造解析、振動解析などさまざまな物理現象の説明に必要とされている。
シュレディンガー方程式
時間非依存のシュレディンガー方程式 (\(\ref{sh}\)) は、位置 \(\mathbf{r}\) に依存する波動関数 \(\psi(\mathbf{r})\)、ハミルトニアン演算子 \(\hat{H}\)、エネルギー固有値 \(E\) で表すことができる。\[ \begin{equation} \hat{H} \psi (\mathbf{r}) = E \psi (\mathbf{r}) \label{sh} \end{equation} \] エネルギー固有値 \(E\) は量子系の特定のエネルギー準位を表している。各エネルギー固有値 \(E\) に対応する固有関数 \(\psi\) は系の量子状態を表す。これにより粒子の位置や運動量の確率分布を決定することができる。